アクスタのベタつき・汚れの落とし方|印刷剥がれを起こさないクリーニング手順

アクスタ(PMMA=アクリル樹脂)と、UV硬化インクの表面印刷/裏面印刷(裏刷り)、ラメ・箔・ホログラム台座などの実仕様に合わせて、印刷剥がれを起こさないベタつき・汚れの落とし方を解説します。フリーハンドの強摩擦・溶剤拭きは厳禁。基本は低刺激の薄液洗い→“ふやかす→転写”で安全に。


目次


この記事の対象と前提(アクスタ専用・材質/印刷の前知識)

  • 本体:PMMA(アクリル)。レーザーカットのエッジは白濁しやすく、強い溶剤や摩擦で微細クラックが出やすい。
  • 印刷:UV硬化インクの表面印刷裏面印刷(裏刷り)。印刷面へのアルコール/溶剤は原則NG。不明な場合は両面とも印刷面扱いで作業。
  • 台座:ABS製/アクリル製/ホログラム・ラメ入りなど。ABSは溶剤クラックや曇りが出やすい。ホログラム箔は強摩擦で剥離リスク。
  • 収納:PVCスリーブや塩ビ製ポケットは可塑剤移行でベタつきの温床。長時間密着NG

アクスタがベタつく/汚れる理由(可塑剤・皮脂膜・静電気)

  • 可塑剤移行:PVCやラバーから滲んだ可塑剤がアクリル表面に薄膜化→粘着/ホコリ吸着。
  • 皮脂膜:手指の油分・ハンドクリーム由来の薄膜がくもりの原因に。
  • 静電気:帯電した面に微細な塵が吸着→拭き傷→白っぽい曇見え。

準備するもの(アクスタ向けに厳選)

  • ぬるま湯(25〜30℃)/ボウル
  • 中性洗剤(食器用・無着色推奨)
  • 超極細マイクロファイバー(やわらかタイプ) 2〜3枚
  • 綿棒(先細タイプ)
  • ラップ(湿布用)/マスキングテープ(弱粘着)
  • 精製水(仕上げの水跡防止)
  • 静電気防止スプレー(プラ対応・無溶剤。布に吹いて使う)

あれば:アクリル対応の保護フィルム、帯電防止クロス。

基本の洗浄手順(薄液洗い:印刷剥がれを防ぐ黄金フロー)

所要10〜15分/不明点があれば最小接触・最短時間で。

  1. 印刷面の確認:表面/裏刷りを目視。印刷面は溶剤・強摩擦NG。不明なら全面“印刷面扱い”
  2. ほこり落とし:送風 or 極やわクロスで乗せて持ち上げる。擦らない。
  3. 薄液づくり:ぬるま湯300〜500mlに中性洗剤1〜2滴(0.2〜0.4%)
  4. やさしく浸け洗い:30〜60秒、指腹で一方向になでる。印刷面の接触は最小限。
  5. ポイント汚れ:薄液を含ませた綿棒でトントン→引く。擦らず持ち上げる。
  6. すすぎ:水道水で短時間→仕上げに精製水を回しかけ水跡防止。
  7. 水切り・乾燥:立てかけて水切り→クロスで押し当て吸水→自然乾燥10〜20分。直射日光/高温風は避ける。

強いベタつき/粘着の対処(ラップ湿布→マステ転写)

原則:溶かさず、ふやかして→転写で取る。

手順A:ラップ湿布

  1. 薄液を汚れに1〜2滴。
  2. 小さく切ったラップを密着貼りで5〜10分
  3. ラップを外し、弱粘着マステ軽圧ペタ→即剥がしを複数回。
  4. 薄液で軽くなで洗い→すすぎ→乾燥。

手順B:間接転写(油性っぽい粘り)」

  • クロス裏面に薄液→汚れに当て数十秒→上から綿棒で軽く押し、汚れを布側に移す
  • 擦らない/円を描かない。

注意:除光液・アセトン・シンナー・強アルカリ/強酸・塩素系、高濃度アルコールは印刷剥がれ・白化(クラック)の原因。

パーツ別の注意:台座(ABS/アクリル)と差し込み穴の割れ予防

  • ABS台座:アルコールや溶剤で白化・曇りが出やすい。薄液洗いに限定。ラメ・ホロ箔は強摩擦NG
  • アクリル台座:本体と同様の薄液手順。印刷/箔がある面は印刷面扱い
  • 差し込み穴:水分が残ると強制挿入でクラックの原因。完全乾燥→まっすぐ差す(斜め負荷NG)。

くもり・うす傷の見え方改善(非研磨コーティング)

  • 多くは皮脂膜+微細擦り傷。まずは基本洗浄で膜を除去。
  • 残る“白っぽさ”は、帯電防止クロス直線1〜2回軽くなでる。
  • 必要時のみ、アクリル対応で非研磨のコーティングを極少量・一方向。印刷/箔は避ける。
  • 研磨剤入りコンパウンドは基本NG(ロゴ薄化・艶ムラ・印刷縁の段差に悪影響)。

絶対NG(アクスタ特有リスク)

  • 印刷面へのアルコール/溶剤全般
  • 除光液・シンナー・アセトン・ベンジン・灯油
  • メラミンスポンジや研磨入りクレンザー/歯磨き
  • 熱湯・直射日光乾燥・ドライヤー高温
  • 円を描く拭き・強圧ゴシゴシ
  • PVC密着保管(可塑剤移行)

仕上げ&再汚れ防止(静電気/保管/展示)

  • 帯電対策:静電気防止スプレーを布側に1プッシュ→軽く一拭き(本体へ直吹きしない)。
  • 保管:直射日光・高温多湿を避け、アクリル対応スリーブ中性紙台紙。PVC・ラバーと長時間密着は避ける。
  • 展示:ケース内はシリカゲル(乾燥剤)+UVカット。夏季は窓際NG。

困ったときのトリアージ(フローチャート)

  • 汚れが軽い? → 基本の薄液洗い → 改善すれば終了。
  • ベタつき強い? → ラップ湿布5〜10分 → マステ転写 → 洗い直し。
  • 白化/ヒビが見える? → 作業中止。溶剤起因の可能性。拡大防止のため乾燥・保管へ。
  • 差し込みが固い? → 穴・差し込み部を完全乾燥→角度を合わせ垂直に。

よくある質問(アクスタ版)

Q1. 表面印刷か裏刷りか分かりません。
A. 不明なら全面を印刷面扱い。アルコール/溶剤は使わず、薄液→押し拭き→精製水すすぎ。

Q2. ベタつきが少し残ります。
A. ラップ湿布を最大15分まで延長→弱粘着マステの回数で転写。それでも残るなら作業中止。

Q3. アルコールで白っぽくなりました。
A. ストレスホワイト/クラックの可能性。溶剤中止→完全乾燥→帯電防止クロスでごく軽く整える。悪化時は専門相談。

Q4. 黄ばみは落とせますか?
A. 材自体の変色は基本不可逆。皮膜汚れ由来なら薄液洗い+非研磨コートで見え方を緩和。

Q5. 台座のホログラム/ラメが心配。
A. 強摩擦で剥離リスク。押し当て吸水+直線1回拭きまで。溶剤は使わない。

まとめ(アクスタ専用の3か条)

  • 薄液・短時間・一方向:迷ったら“弱く・短く・擦らない”。
  • 溶かさずふやかす→転写:ラップ湿布+弱粘着マステで安全に。
  • 印刷面は神経質に:アルコール/溶剤NG、仕上げは精製水+帯電対策。

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