アクスタ(PMMA=アクリル樹脂)と、UV硬化インクの表面印刷/裏面印刷(裏刷り)、ラメ・箔・ホログラム台座などの実仕様に合わせて、印刷剥がれを起こさないベタつき・汚れの落とし方を解説します。フリーハンドの強摩擦・溶剤拭きは厳禁。基本は低刺激の薄液洗い→“ふやかす→転写”で安全に。
目次
- この記事の対象と前提(アクスタ専用・材質/印刷の前知識)
- アクスタがベタつく/汚れる理由(可塑剤・皮脂膜・静電気)
- 準備するもの(アクスタ向けに厳選)
- 基本の洗浄手順(薄液洗い:印刷剥がれを防ぐ黄金フロー)
- 強いベタつき/粘着の対処(ラップ湿布→マステ転写)
- パーツ別の注意:台座(ABS/アクリル)と差し込み穴の割れ予防
- くもり・うす傷の見え方改善(非研磨コーティング)
- 絶対NG(アクスタ特有リスク)
- 仕上げ&再汚れ防止(静電気/保管/展示)
- 困ったときのトリアージ(図解的フローチャート)
- よくある質問(アクスタ版)
- まとめ(アクスタ専用の3か条)
この記事の対象と前提(アクスタ専用・材質/印刷の前知識)
- 本体:PMMA(アクリル)。レーザーカットのエッジは白濁しやすく、強い溶剤や摩擦で微細クラックが出やすい。
- 印刷:UV硬化インクの表面印刷/裏面印刷(裏刷り)。印刷面へのアルコール/溶剤は原則NG。不明な場合は両面とも印刷面扱いで作業。
- 台座:ABS製/アクリル製/ホログラム・ラメ入りなど。ABSは溶剤クラックや曇りが出やすい。ホログラム箔は強摩擦で剥離リスク。
- 収納:PVCスリーブや塩ビ製ポケットは可塑剤移行でベタつきの温床。長時間密着NG。
アクスタがベタつく/汚れる理由(可塑剤・皮脂膜・静電気)
- 可塑剤移行:PVCやラバーから滲んだ可塑剤がアクリル表面に薄膜化→粘着/ホコリ吸着。
- 皮脂膜:手指の油分・ハンドクリーム由来の薄膜がくもりの原因に。
- 静電気:帯電した面に微細な塵が吸着→拭き傷→白っぽい曇見え。
準備するもの(アクスタ向けに厳選)
- ぬるま湯(25〜30℃)/ボウル
- 中性洗剤(食器用・無着色推奨)
- 超極細マイクロファイバー(やわらかタイプ) 2〜3枚
- 綿棒(先細タイプ)
- ラップ(湿布用)/マスキングテープ(弱粘着)
- 精製水(仕上げの水跡防止)
- 静電気防止スプレー(プラ対応・無溶剤。布に吹いて使う)
あれば:アクリル対応の保護フィルム、帯電防止クロス。
基本の洗浄手順(薄液洗い:印刷剥がれを防ぐ黄金フロー)

所要10〜15分/不明点があれば最小接触・最短時間で。
- 印刷面の確認:表面/裏刷りを目視。印刷面は溶剤・強摩擦NG。不明なら全面“印刷面扱い”。
- ほこり落とし:送風 or 極やわクロスで乗せて持ち上げる。擦らない。
- 薄液づくり:ぬるま湯300〜500mlに中性洗剤1〜2滴(0.2〜0.4%)。
- やさしく浸け洗い:30〜60秒、指腹で一方向になでる。印刷面の接触は最小限。
- ポイント汚れ:薄液を含ませた綿棒でトントン→引く。擦らず持ち上げる。
- すすぎ:水道水で短時間→仕上げに精製水を回しかけ水跡防止。
- 水切り・乾燥:立てかけて水切り→クロスで押し当て吸水→自然乾燥10〜20分。直射日光/高温風は避ける。
強いベタつき/粘着の対処(ラップ湿布→マステ転写)
原則:溶かさず、ふやかして→転写で取る。
手順A:ラップ湿布
- 薄液を汚れに1〜2滴。
- 小さく切ったラップを密着貼りで5〜10分。
- ラップを外し、弱粘着マステを軽圧ペタ→即剥がしを複数回。
- 薄液で軽くなで洗い→すすぎ→乾燥。
手順B:間接転写(油性っぽい粘り)」
- クロス裏面に薄液→汚れに当て数十秒→上から綿棒で軽く押し、汚れを布側に移す。
- 擦らない/円を描かない。
注意:除光液・アセトン・シンナー・強アルカリ/強酸・塩素系、高濃度アルコールは印刷剥がれ・白化(クラック)の原因。
パーツ別の注意:台座(ABS/アクリル)と差し込み穴の割れ予防
- ABS台座:アルコールや溶剤で白化・曇りが出やすい。薄液洗いに限定。ラメ・ホロ箔は強摩擦NG。
- アクリル台座:本体と同様の薄液手順。印刷/箔がある面は印刷面扱い。
- 差し込み穴:水分が残ると強制挿入でクラックの原因。完全乾燥→まっすぐ差す(斜め負荷NG)。
くもり・うす傷の見え方改善(非研磨コーティング)

- 多くは皮脂膜+微細擦り傷。まずは基本洗浄で膜を除去。
- 残る“白っぽさ”は、帯電防止クロスで直線1〜2回軽くなでる。
- 必要時のみ、アクリル対応で非研磨のコーティングを極少量・一方向。印刷/箔は避ける。
- 研磨剤入りコンパウンドは基本NG(ロゴ薄化・艶ムラ・印刷縁の段差に悪影響)。
絶対NG(アクスタ特有リスク)
- 印刷面へのアルコール/溶剤全般
- 除光液・シンナー・アセトン・ベンジン・灯油
- メラミンスポンジや研磨入りクレンザー/歯磨き
- 熱湯・直射日光乾燥・ドライヤー高温
- 円を描く拭き・強圧ゴシゴシ
- PVC密着保管(可塑剤移行)
仕上げ&再汚れ防止(静電気/保管/展示)
- 帯電対策:静電気防止スプレーを布側に1プッシュ→軽く一拭き(本体へ直吹きしない)。
- 保管:直射日光・高温多湿を避け、アクリル対応スリーブと中性紙台紙。PVC・ラバーと長時間密着は避ける。
- 展示:ケース内はシリカゲル(乾燥剤)+UVカット。夏季は窓際NG。
困ったときのトリアージ(フローチャート)
- 汚れが軽い? → 基本の薄液洗い → 改善すれば終了。
- ベタつき強い? → ラップ湿布5〜10分 → マステ転写 → 洗い直し。
- 白化/ヒビが見える? → 作業中止。溶剤起因の可能性。拡大防止のため乾燥・保管へ。
- 差し込みが固い? → 穴・差し込み部を完全乾燥→角度を合わせ垂直に。
よくある質問(アクスタ版)
Q1. 表面印刷か裏刷りか分かりません。
A. 不明なら全面を印刷面扱い。アルコール/溶剤は使わず、薄液→押し拭き→精製水すすぎ。
Q2. ベタつきが少し残ります。
A. ラップ湿布を最大15分まで延長→弱粘着マステの回数で転写。それでも残るなら作業中止。
Q3. アルコールで白っぽくなりました。
A. ストレスホワイト/クラックの可能性。溶剤中止→完全乾燥→帯電防止クロスでごく軽く整える。悪化時は専門相談。
Q4. 黄ばみは落とせますか?
A. 材自体の変色は基本不可逆。皮膜汚れ由来なら薄液洗い+非研磨コートで見え方を緩和。
Q5. 台座のホログラム/ラメが心配。
A. 強摩擦で剥離リスク。押し当て吸水+直線1回拭きまで。溶剤は使わない。
まとめ(アクスタ専用の3か条)
- 薄液・短時間・一方向:迷ったら“弱く・短く・擦らない”。
- 溶かさずふやかす→転写:ラップ湿布+弱粘着マステで安全に。
- 印刷面は神経質に:アルコール/溶剤NG、仕上げは精製水+帯電対策。
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